2008年4月28日 - 旧神戸移住センター保存・再整備着工宣言式
神戸市長 矢田立郎氏の挨拶
本日はお忙しい中、旧神戸移住センターの保存・再整備"着工宣言"式典にご出席いただき、ありがとうございます。主催者を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
今年、2008年(平成20年)はブラジル移住100周年記念の年です。神戸は、ブラジル移住とは非常に縁の深い街で、日本人のブラジル移住は、今からちょうど100年前の今日、1908年(明治41年)4月28日に、最初のブラジル移住船「笠戸丸」が神戸港から出航したのが始まりです。
また、その20年後の1928年(昭和3年)には「国立移民収容所」が設置され、それが後に「神戸移住センター」と改称し、1971年(昭和46年)に閉鎖されるまで、実に約25万人もの移住者が、神戸港からブラジルを中心とした南米に旅立っていかれました。
この「神戸移住センター」で、多くの移住者の方が、大きな希望と不安を胸にいだき、出国前の短い期間を過ごされました。移住センターとしての役割を終えてから、すでに30年以上が経過していますが、今でも多くの移住関係者の方々がここを訪ねて来られます。移住関係者にとって、ここはいわば"心の故郷"として、非常に大切な存在となっております。こうした多くの移住関係者の思いを背景に、この旧神戸移住センターの保存を求める声が、神戸市に寄せられるようになりました。
そこで、神戸市ではブラジル移住100周年記念事業として、今では国内に唯一現存する移住関連施設となった、この旧神戸移住センターの保存・再整備事業を行うことといたしました。笠戸丸の出航から100年となる本日、2008年4月28日、ここに旧神戸移住センター保存・再整備工事の"着工"を宣言いたします。
改修工事は5月末頃に始まり、約1年の工期を経て、神戸市とブラジルのリオ・デ・ジャネイロ市との姉妹都市提携40周年記念の年でもある2009年(平成21年)5月末に再オープンする予定です。新たな旧神戸移住センターでは、現在の「神戸移住資料室」を大きく発展させた「移住ミュージアム」を設置するほか、日系人を中心とした在住外国人の支援や、芸術を通じた国際交流の施設として生まれ変わります。
「旧神戸移住センター」の保存・再整備は、国内のみならず、ブラジルの日系人社会でも注目されております。神戸市としましても、多くの方々の期待に応えるべく、再オープンに向けて事業を着実に推進していく所存ですので、ご協力をお願い申し上げます。
また、再整備にかかる「基本計画」の策定など、本日ご出席の皆様の多大なご協力を賜りました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。
最後になりましたが、皆様方のご健勝とご活躍をお祈りいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。