ご挨拶
日本人のブラジル移住は、1908年4月28日、笠戸丸が最初の移住者781人を乗せて神戸港を出港した時から始まりました。
2008年は、ちょうど100周年の節目にあたり、日本とブラジル両国で、日伯交流年・ブラジル移住100周年を記念して多岐にわたる行事が行われました。
日本からブラジルへ移住した人数は、戦前・戦後を合わせて25万人に上りますが、100年の歴史とともに世代を重ねて、2020年には1世から6世まで200万人におよぶ海外最大の日系社会を構成しています。
ブラジルに渡った日本人やブラジル国民となった日系の人々は、最初は農業分野を中心に積極的な活動を展開し、その後は、あらゆる分野で重要な役割を担う人材を輩出する等、ブラジルへの貢献が高く評価されています。
日伯協会は1926年、神戸財界の有志によって、ブラジルとの貿易促進と移住者支援を目的に誕生した日本・ブラジル2国間最初の交流団体です。創立早々には、会報「ブラジル」を発刊し、次いで神戸移住センター(当初の名称は国立移民収容所)の開設を建議し実現したほか、神戸港から出発した移住者支援に尽力しました。
1971年に神戸からの移住事業は終わりましたが、当協会は、2008年のブラジル移住100周年に照準を当て、1999年から神戸における移住者顕彰事業に着手しました。その第一段として2001年に、神戸港移民船乗船記念碑を建立、第2段では、2002年に移住者の歩いた道にイペーの植樹とモニュメント設置などを実現させました。
第3段は、最大の課題であった移住関連施設としては国内に唯一残る「旧神戸移住センター」の保存・再整備でした。この事業は、私たちの10年に亘る粘り強い働きかけにより、2008年4月、神戸市の決断によって、移住100周年記念事業の一環として改修工事が開始されました。
1年後の2009年6月3日に移住ミュージアムや在日外国人支援などの機能を持った施設「海外移住と文化の交流センター」として生まれ変わり、神戸の新名所として誕生しました。日伯協会は、この施設の1・2階で、移住の歴史を後世に伝える「移住ミュージアム」の運営を任されております。
次代へ向かって歩みだした日伯関係を踏まえて、日本とブラジルの交流促進のために幅広い事業や活動を展開しておりますので、ご支援・ご協力をお願いいたします。
一般財団法人 日伯協会
理事長 池田 育嗣